兄が麻薬捜査官で、そして死んだ…?あまりの衝撃に呂云鵬は失神する。
遺体安置所に横たわる息子の姿を見て李玫は半狂乱になり夫に電話をかけ続けるのだった。
呂云鵬は兄が最後に自分宛てに送ってきた腕時計に何か意味があるのではないかと時計を調べるが特に変わった所はない。公安局も腕時計を分解して一通り調べた後だった。云鵬は研究室に戻り、腕時計が送られてきた時の箱を調べる。兄が書いた伝票、複写式であるはずのその伝票はその一部だけわざわざ複写でなく直接筆記されていた。
呂云飛は秘密捜査官だったため殉職も世間に知られてはならない。葬儀も秘密裏に行われた。といっても遺体が回収できていないため、代わりに制服を墓に入れることになった。
李玫は精神を病み、呂夢瑶は未だ意識が戻らない。呂云鵬は茫然とし部屋に閉じこもる。江伊楠は心配して弁当を届けるが云鵬は全く手を付けなかった。云鵬は兄の思い出は昔の事ばかりで、ここ近年は殆ど会うことがなかったことを後悔していると呟く。兄はいつも自分を気にかけてくれて自分の理解者だった。そして自分もまた兄の良き理解者だと思っていたが、実際は兄の事は何も解っていなかったのだ…。そして云鵬はうとうとと眠りにつく。それを見届けて伊楠は彼が心に大きな傷を負ったことに同情しため息をつくのだった。
翌朝伊楠が目覚めると云鵬の姿はどこにもなかった。机の上には書き置きが。「私の事は探さないで下さい。呂云鵬という男はもうこの世にいなくなったのです。」伊楠は真っ青になりすぐに趙局長に報告する。
呂云鵬のパソコンの履歴から明山を調べていたことがわかった。そして明山行きの乗車券を買ったことも。伊楠は明山へと向かう。明山の麻薬取締局には友人の魏海がいる。魏海は久しぶりに伊楠に会えたことを喜ぶが伊楠は顔色一つ変えることなく淡々と事件の詳細を説明するのだった。呂云鵬はおそらく復讐を考えている。だが逆に敵の手に落ちれば命の危険もあり今後の捜査に支障がでる可能性もある。一刻も早く彼の身柄を確保し濱江に連れ帰るのが今回の任務だ。
呂云鵬はホテルで一日考えた結果、兄が書いた伝票に何らかの意味があると考え、小包が発送された空港へ行って財布を盗られたと偽って防犯カメラを見せるよう迫ったが、係員はそれはできないと突っぱねる。なおも立てついたため空港から追い出されてしまった。
と、黒いフードの男が近づいてきて防犯カメラを観たいのなら手伝ってやると言う。彼は空港の警備員で防犯カメラを見れるというのだ。男は一万元を要求し、云鵬は財布を取り出す。と、男は財布を奪って逃げだした。云鵬は追いかける。
魏海は部下の陳童も連れて三人で江伊楠の歓迎の食事会を開く。陳童は大好きな"海哥"が江伊楠にあれやこれや親切にしてモーションかけていることに嫉妬する。だが当の伊楠は呂云鵬の事が気になってあまり食が進まない。
廃墟となった空きビルには浮浪者がたむろっていた。床には薬物を摂取するためのストローが散乱している。中毒者が床に転がって体を掻きむしり意味不明の言葉を発している。その一角で薬物を吸ってもうろうとしている男を見つけた。男はぼんやりした表情で呂云鵬を見上げると財布を返すのだった。この街の暗部…麻薬密売人らが彼らを追い詰め搾取し利益を貪っている、彼らは犠牲者に過ぎない。云鵬は男に飯をおごってやるのだった。
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あーただの化学者が刑事ばりに鋭いカンを働かせて事件の真相を追っちゃうような、そんなパターンのミステリかい?
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