春の祭事のため皇帝や荀彧以下朝臣、将軍らはみな都を出発する。
儀式は淡々と進むかに見えたが、突然焚き木の向こうから剣士が乱入し曹丕に剣を突きつける。剣士は王服の兄、王越だった。王越は弟の仇を討つため曹操の息子を殺しに来たと言う。司馬懿が飛び出してきて王服は唐王妃に刺された、この目で見たと告げる。王越は司馬懿を睨みつけると曹丕の首を斬りつけ包囲する兵士らをなぎ倒し逃げて行った。
このままでは唐王妃が危険だ、皇后はすぐに孫将軍に後を追わせる。曹丕は出血おびただしいがまだ息はある。叔父の曹仁や兵士に扮して同行していた妹の曹節はなんとか助けてほしいと泣きわめく。劉平はすぐにきれいな水と布と血止めの薬を用意しろと命じる。劉平は手際よく傷口をふいて薬を塗りはじめた。その様子を見て臣下らは顔を見合わせるが、皇后が「陛下は長く病でふせっておられた時にはやく元気になれるように養生の術を学んでおられた。」とごまかし、意を得た侍従が「陛下のやり方は残念ですが少し違います、ほらこのように…」と手本を見せるようにして治療を代わった。
司馬懿や孫将軍らが弘農王の社へ駆け付けるとそこには世間にその名を知られる剣豪である王越と互角に戦う唐王妃の姿が。唐王妃を救おうと孫将軍の配下が切り込むが王越はたった一人で殲滅する。傷を負った孫将軍を、司馬懿は助けるふりをしてとどめを刺す。唐王妃と王越は互角の戦いを続けていたがやがて唐王妃に疲れが見え始める。そして唐王妃の危機に司馬懿が身を挺して庇い傷を負った。お前は唐王妃を売ったにもかかわらずなぜ助けようとする?問う王越に司馬懿は王服が愛する唐王妃を救うために自ら彼女の剣を受けたことを明かす。
鄧展が駆け付けると孫将軍とその配下はみな地に倒れ肩に傷を負った司馬懿が助けてくれとうめいている。王越によってみんなやられてしまったらしい。ただ馬が近づいてくる音を聞いて王越は逃げて行ったので社の中の唐王妃は無事だと言う。鄧展は孫将軍の致命傷となったらしい胸の傷に違和感を覚える。
司空府に戻った鄧展は唐王妃は無事だったが王越は逃亡し孫将軍らが殉死、書官の司馬懿が重傷を負ったと報告する。驚いた劉平はすぐに医者を派遣しろと命じ、ただの一書官に陛下が宮廷医師を派遣する事を満寵は訝しむ。
陛下らが去った後で満寵は曹仁に懐から出して来た小石を見せる。曹丕が致命傷を負わなかったのはこの石のせいだ。何者かが王越に剣にこの石をぶつけたために剣の勢いがそがれ、剣は曹丕の首をかすっただけにとどまったのだ。満寵は楊修の配下の徐福がこの技を使うのを見た事があると告げる。儀式の場に楊親子はいなかったが、王越の乱入は必ずや彼らが絡んでいると満寵は睨む。
皇后は唐王妃を危険に晒した司馬懿は死に値すると憤慨するが、劉平は彼がわざとあの場で王越に唐王妃の仕業だと発言したのだと思うと釈明する。王越は名高い剣侠、王服が唐王妃をかばって自死したことは理由を話せば必ず解ってくれると踏んでいたのだろう、司馬懿の目的はこの機に乗じて王服の死を目撃していた孫将軍を抹殺する事に他ならない。満寵は唐王妃を疑っている、彼女が剣の使い手だということを知られてはならないのだ。
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おやまあ、へなちょこだった劉平が少しずつ皇帝らしくなっていくという
成長物語になるのかしら。
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