仲達と諸葛亮の舌戦はまだ続く。
「丞相は休む間もなく戦いに出向いてご苦労なことだ!」
「そちらこそ大都督就任お祝い申し上げよう!」
「ではこちらへ来て祝いの酒を飲もうではないか!」
「西城では良い酒を用意して待っていたのに大都督はさっさとお逃げになられたな!」
辛辣に返す諸葛亮の言葉に魏将士らは腹を立てる。
「丞相よ、もし天下を平定したいというのであれば我が大魏国に向かって参られよ、でないと十年以内に我が魏が天下を統一しますぞ!」
「これはご丁寧に。今この地を棋盤として戦い決着をつけるのはいかがかな?」
諸葛亮はここで戦っている隙に後方部隊を動かして麦を刈らせる気だろう、その手に乗るか。仲達は昼飯にしようと言って軍営へ戻って行く。 将士らは諸葛亮の挑発に憤り皆出陣を申し出る。仲達は仕方なく郭淮に出陣を許可した。
諸葛亮は兵を退却させる。それを追う郭淮の兵。だが間もなく伏兵に取り囲まれた。それを見て麦畑に待機していた蜀兵らが一斉に麦を刈り始める。郭淮から救援要請と、蜀軍が麦を刈っているとの報告が同時に届く。仲達は麦の方は放っておいて郭淮へ援軍を出すようにとだけ指示して戻って行った。
諸葛亮の罠にはまりまんまと麦を取られたことは魏軍の士気を挫いた。子元らは心配するが仲達は小さな負けにはこだわらなくていいと言う。本当に勝ちたいと思うならば、先ず"良い負け方"を学ぶ事だ。負けることは恥ではない。面子にこだわり"良くない負け方"をしたのがあの曹真だ…。子元らは納得する。
蜀軍営は約半月分の麦を手に入れた。だが相変わらず李厳からの補給は滞っている。かれこれひと月も遅れているが何をやっているのだ…どうやら早く決着をつけねばならないようだ。司馬懿は必ず麦を取り戻すためこの鹵城を襲うはず、いやむしろ襲ってくれねば困る…。
郭淮は蜀軍が麦の脱穀精製に夢中になっている今こそ鹵城に攻め入るべきだと言うが、仲達は諸葛亮の思うつぼだといって動かない。郭淮がまた空城の計にかかるつもりかと言うので仲達は仕方なしに出陣を許可する。だがひそかに張虎を援護につけさせるのだった。
間もなくして郭淮は戻って来た。諸葛亮の罠に嵌ってほうほうの体で逃げて来た郭淮は自分が間違っていたと仲達に膝をつく。仲達は無事戻ってこれたのだから喜ぶべきだと彼に温かいスープを差し出す。怒りも悔しさも皆このスープと一緒に飲み込んでしまえ、と。
蜀軍にやっと都からの糧秣が届く。だが担当官の苟安は漢中は食糧不足で軍糧も予定の半分しか持ってこれなかったと言う。今年は豊作だったはずなのになぜ食糧不足が起こるのだ?問い詰める諸葛亮に苟安は押し黙る。諸葛亮が軍令違反で斬首にすると言うと苟安は全て李厳の手配によるものだと吐いた。
糧秣が不足する以上、このまま司馬懿が動かなければ我が軍は撤退を余儀なくされる…司馬懿は私の弱点を突いてきたというわけだ、では彼の弱点は…それは洛陽にある!
蜀軍は魏軍営の前で司馬懿を罵倒し挑発行為を繰り返す。将士らは憤るが仲達は蜀軍の糧秣がなくなるまで待てと繰り返すのみ。張郃は仲達がまったく戦いに出ないことを密かに魏帝に伝え、魏帝は早く決着をつけろという聖旨を出す。仲達は聖旨を受け取るが、それでも決して挑発に乗って出陣しない事、違反した者は軍法に照らして斬首にすると言い渡した。
その夜、苟安がこっそり魏軍営にやってくる。仲達はうまく事が運んでいることに礼を言う。そして諸葛亮が長く戦に出ていることを利用して、彼が大軍を持って独立しようとしていると蜀帝に吹き込めばいいと提案するが、苟安はうちの陛下は丞相に頼りきりで裏切りなど微塵も考えないから無理だと答える。そこで仲達はある秘策を授ける。
* * * * *
仲達との舌戦で真顔で姜維に「どういう意味だ?」って訊いてる孔明先生なんかカワイイ。考えてみれば蜀と魏では遠く離れてるし文化の差もあったろうから元魏人の姜維に尋ねてるのかな。
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