皇帝は辛子硯を呼び出す。先ず青溟書院が国に貢献できる優秀な人材を育成する場なのにその卒業生が皆太子の配下についていることをチクリと皮肉る。だが辛子硯は世継ぎを手助けすることは国の重要な仕事だと答える。皇帝は軟禁された趙王が預言者を呼んでくれと言っていることを聞きつけ理由を尋ねる。辛子硯は趙王が予言者にすっかり入れ込んで彼の言葉以外を受け入れなくなってしまっているようだと答える。趙王本人を尋問しても無駄だろう、預言者を連れて来て趙王が一体何を隠しているのかを問い詰めるのだ。辛子硯は皇帝に預言者になりすましてほしいと言う。
寧弈は辛子硯と祝杯を挙げる。明日趙王の企みを吐かせあの呪い人形を皇帝に見せれば太子も終わりだ、三兄の汚名を雪ぎその仇を討てる…寧弈は天国の兄に向けて杯を捧げる。
一睡もせず茫然と空の酒壺を弄んでいた趙王。そこへ辛子硯が現れる。その傍らにはあの仮面の預言者の姿が。しかし随分と腰が曲がって足取りもおぼつかない様子。趙王は預言者を上座に案内し、どうか助けてほしいと懇願する。預言者は手を振り下がれと示すので辛子硯は退室していった。趙王は必至の形相で、全ては八年前のある事件が発端だったと話し出す…。
しばらく外で待っていた辛子硯だが呼ばれて中へ。が、そこには仮面の預言者と、その足元に口から血を流して倒れている趙王の姿。「へ、陛下…一体何が?」絶句する彼の前で仮面を外した預言者、それは皇帝ではなく、太子だった!!
太子はニヤリとして、自分が予言者のふりをしたのも全て父の指図だと告げ辛子硯の肩をぽんぽんと叩いて去っていった。実は太子は昨晩あの呪い人形を持って父帝に陳謝に行ったのだった。目に涙を浮かべて、五弟が自分の事を憎むあまりに愚かなことをした、しかしどうか彼を許してやって欲しい、弟の罪は兄の自分が償う、と。すると父帝は明日自分の代わりに行って五弟の本当の心の内を見て来いとそう言ったのだ。
太子は皇帝に、趙王が本当に父を呪い殺そうとしていたと報告する。彼は預言者に帝位に就くためにどうしたらいいかと訊いてきたと。そして彼の真意を試すために毒酒を差し出し、これを飲み干せば太子と皇帝は死ぬだろうと伝えると彼は迷わず飲み干し、そして死んだと…。弟の真の心を知って正直ショックだったと太子は悲痛な面持ちで話す。
太子が退室した直後、皇帝はふらつき床にへたり込んだ。皇帝は趙王が自分を呪い殺そうとしていたことにショックを受けたのではなかった。彼には趙王の造反を信じたくない気持ちがどこかにあった、涙を浮かべ弟をかばう太子は昔の彼とは違う、一国の君主としての器を身につけつつある、そう信じたかった、だから彼を代わりに行かせたのだ。だが太子は…八年前寧喬を追い詰め殺したように今度は寧研を殺したのだ!
辛子硯は寧弈に陳謝するが、さすがに寧弈も予想もしない展開に表情をこわばらせる。はたして太子は父帝にどう話したのか、父帝はどう出て来るのか予想できない…。
翌日、太子、燕王、楚王の三人は皇帝に呼び出され、趙王が「急な病で亡くなった」と知らされた。
青溟書院は広く学生を受け入れている、とはいえ王族貴族の子息が幅をきかせているのが現状だ。魏知はその聡明さで教師の出した難問もすらすら解いてみせるが、彼女…いや彼の学才に嫉妬した皇女・韶寧に敵視される。馬鹿にしたと因縁をつけられ追い回されるが、通りかかった馬方が巻き込まれ彼女から一方的に殴られているのを見過ごせず、いい加減にしろと取っ組み合いの喧嘩になり皇女を押し倒して降参させた。
魏知は馬方を助けてやり見送るが、離れた所で様子を窺っていた顧南衣は、あの馬方はただ者ではない、かなりの武術の腕前を持つはずだと告げる。
寧弈は日中やけに眠く、この頃は所かまわず傾眠してしまうようになった。噂では皇帝も同じような症状に悩まされていると聞く。太子からまた茶の差し入れがあったが寧弈はこの茶を調べさせろと寧澄に命じる。
魏知は馬場を覗きに行く。十数人の馬方が馬場を掃除し馬の世話をしていた。数人がふざけあって軽い身のこなしを見せている。確かにここの馬方らはただ者ではない…。
と、突然皇女が背後から現れて騒ぎ立てたため馬方らはじっと魏知らを睨みつける。魏知は馬が好きで見に来ただけですと愛想笑いして急いでその場を去る。
* * * * *
あああーっ見事に引っ掛けられた!お見事!太子もバカじゃなかった!
0コメント