卞夫人は酒の席に妻を呼び仲間らにその顔をさらしたと知って息子を叱りつける(正妻を軽々しく他の男に見せることは恥ずべきことで、他人の妻をじろじろ眺めることも無礼である)。それを耳にした曹操は甄氏の顔に見とれていた子桓の仲間らに罰を与える。
子桓は子建の事が好きな甄氏が自分を陥れるためにわざと酒席にやってきたのだと怒る。甄氏は誤解だというが、どうしてあの酒席の話が母に伝わるのだ。悪意ある者が密告した以外に考えられない。
実は密告したのは甄氏の小姓。楊修が彼女に金を積んで子桓を陥れようと図ったのだ。司馬仲達は罰せられなかったが子桓の手足となる仲間らを排除できた。これで少しは子建に有利な流れを引き寄せられよう。
仲間を流刑に処され、周囲に心を開いて話せる人間が少ないと嘆く子桓。そして仲達に阿照をよこしてくれないかと頼む。阿照を子桓の元へ上げる、すなわち子桓の側室にする事には春華が猛反対。だが話を聞いて阿照はぜひともと飛びつく。春華は怒って阿照を部屋に閉じ込めた。話を聞いた叔達は傷心するが、子桓なら阿照を本当に幸せにしてくれるだろうと己は身を引き阿照を逃がしてやるのだった。
好きな人と一緒にいられると幸せに酔いしれる阿照だったが、子桓から仲達が変な行動を起こしたらすぐに知らせてほしいと言われた。子桓は自分を見初めたのではなく、義兄を監視するために娶ろうとしている…そしてそれを子桓は否定しなかった。だが阿照の事は本当に好きだから真実を話したと言って子桓は出て行った。あまりのショックに動けない阿照の元に甄氏がやってくる。甄氏は何でも協力するので子桓に笑顔を取り戻させてあげてとやさしく声をかけるのだった。
荀令君は流刑に処された一人・劉楨の減刑を曹操に願い出る。劉楨は漢王室の血を引いており、南の劉表らが彼の血筋を利用して旗印にする恐れもあるからだ。今更王室の血筋を持ち出すとはと曹操は笑うが、ふと思い出して袁紹との決戦前に荀令君と郭嘉に書かせた竹票を見せる。跡継ぎは誰がいいかと問うた答えとして、荀令君は「長子が継ぐべし」と書いた。郭嘉が記したのは…「賢子が継ぐべし」。さて賢子とは誰を指すのか、郭嘉亡き今それを知るすべはない。
曹洪将軍が南征に出発するにあたり東門から出立し令旗を届けるようにという命令を受けた子桓。将軍は南門外にいるのにわざわざ東門から出るのか?子桓は不審に思う。すると子建が同じように西門から令旗を届けに出ることになっているというのだ。
子建の元にも命令が届いた。楊修はこれは丞相のテストに違いないと踏む。東門、西門から南門までの距離は同じ。曹洪将軍は先に届いた令旗を持って出発する。馬の速さを競わせるわけでもなかろう、おそらく道中でなにかしら行く手を阻む者が現れる、そして二人の息子が臨機応変に事態に立ち向かえるかを試すに違いない。そしてはっきりしているのは、この争いに負けた方が命に背いたとして軍法で罰せられる。
楊修はこうなったら明日現れるであろう邪魔者は有無を言わさず殺そうと言い出した。子建は罪のない者を殺すことなどできないと反対するが、楊修はこの乱世で自分の理想を実現するためには綺麗事だけでは進めない、この両手を血で染めることも必要なのだと説く。今我らの争いはただ勝敗を賭けているのではなく己の生死を賭けているのだ!
阿照はやはり出て行くことにした。子桓は無理には引き留めないと言う。やっぱり全部ウソだったんだと阿照が怒って出て行こうとするのを子桓は引き留め、普段から人を疑ってばかりで本心を表に出すことができない、本当は行かないでほしいと思っていると言う。その言葉に阿照は喜び機嫌を直す。
子桓は仲間らを集め良案を探る。曹真(子丹)は行く手を阻むものを片っ端から切ってやると言うが、しかしその行く手を阻む者は丞相の部下だ、彼らを傷つけることは重罪。打つ手がない。そうして皆いつの間にか寝てしまい朝を迎えた。
目覚めた子丹は急いで兵を整えに出かけようとするのを仲達が制止する。何か良い策を思いついたのかと問うが、何も思いつかないと答える。ただ、臣下の礼をわきまえ子としての礼をわきまえねばならない、と。 それはつまり勝敗を争うなと?子桓は半信半疑ながらも落ち着いて出発の準備を整える。
子建と楊修は朝早く出立し西門へ行くが、丞相の命令で城門はすべて閉ざされていた。楊修は立ちふさがる門衛を殺し強引に門を開けさせた。
子桓と仲達は東門へ行くがやはり城門は閉ざされている。かっとなった子桓が剣を抜くのを仲達がなだめ、諦めて馬頭を返す。
はたして曹洪将軍の元には子建が令旗を届けた。
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あ、やっぱり曹丕も主人公か。曹丕と仲達のW主人公みたいな形になってるのかも。曹丕の方がいろんな経験を経て成長していくという昔からよくある少年漫画の主人公的立ち位置。仲達は最初から才能あっていろんな難局をぽんぽん切り抜けていくというイマドキのヒーロー漫画的な。
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