「一本好書」第五期
『霍乱時的愛情(コレラの時代の愛)』(原著/ガルシア・マルケス)
ガルシア・マルケスかよ…教科書に載るような文学作品は、物語自体は得てしてつまらんものだ。この原作もあらすじ自体はしょーもない恋愛物語。このプログラムはあらすじをざっくり追う形の脚本になってるので、もう古典的な恋愛物語になってる。
主人公の若者アリーサは若者が演ってるけど、狂言回しである老人アリーサ(演:王洛勇)がその当時を回顧するように心情を語り上げてく。殆ど朗読というか一人芝居のようになってて、それがまた真に迫っててググッとくるんだなぁ。言葉の力、セリフの力。恋に浮かれウキウキしてる若者の心情を白髪頭のおじさんが、本当にウキウキして語る。それだけで、仮に舞台上に若者アリーサがいなくてもその情景が浮かぶようだ。
ただの未練がましい男の失恋物語なんだけどなぜかラストには共感してしまってた。(いややっぱりアリーサはダメ男だしフェルミーナには何の罪もないし当然の結末だとは思うんだけど…。)
セットは二階建てになってたりで凝ってて、でも360度ステージでも足りないくらい場面が変わっていくからスクリーンも利用してうまいこと転換していく。最も凄い、素晴らしいと思ったのは船のシーン。スクリーンに背景を流すことで本当に船が進んでいってるみたいだ。
客席を利用する演出も機知に富んでると思った。
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