西城の前へやってきたが城壁には兵の姿は一人と見えない。ゆっくりと門が開き、少数の兵が現れて門の周囲を掃き清めだした。トンビがゆっくりと空を旋回し不吉な声で鳴いている。すると城門の楼閣に諸葛亮が現れた。あれが諸葛孔明…仲達は凝視する。と、諸葛亮は大軍を眼の前にして優雅に琴を弾き始めた。
仲達はその意図を読もうと馬を一歩また一歩と前へ近づける。離れた距離にある仲達と孔明はしかしまるですぐ近くにいるかのようにその心理を戦わせる。…城は空だ、入って来たまえ。お前は私を殺し名を揚げられると考えているだろう、だがお前の背後に大きな網が張り巡らされているのに気付かないのか?お前は若い主に忠誠を疑われ公家の者に妬まれ、功を建てたつもりが裏切られ捨てられるのだ、さあ入って来るがいい…。
突然琴の弦が切れた!仲達は我に返り、突然馬首を返し撤退を命じる。皆一斉に退却していった。
張郃はなぜ一戦も交えることなく退却したのかと仲達を問い詰める。伏兵の恐れがあると言ってもその気配はひとつも見当たらなかったのに退くとは説明がつかない、馬鹿げている。張郃はもう一度探って来ると西城へ戻って行った。
仲達は孔明との心理戦を思い返す。あの続きを…お前を殺せば司馬家は百代に渡り名を遺す!剣を孔明に突きつける。お前は手紙にこう書いたな、「依依東望」と。(注:西方にある蜀から東に向かって望むのは天下統一の野望だろう。)人が生涯で望む事は何だ?志を貫き栄光を勝ち取り立派な人生を歩むこと、そうだろう!? だが見ると孔明の姿は白髪の老人に変わっている。それは老いた自分自身のようにも見える。
老人は言う、人が望み思い焦がれるのは生きる事、生きる時間である、と…。(注:命を賭して名を成すことより生きのびる事を望みなさい、という意味か。孔明を倒せば名を成すが皇帝や曹家から睨まれ命を危うくすること必須だが、孔明を逃せば汚名を被るが生き残れるということだ。)
まだ茫然としている仲達に子上が言う、城内に伏兵がいてもいなくても張郃が諸葛亮を倒しちゃったら僕たち司馬家は終わりだよ?仲達は子上の襟首を掴み、そういう事を絶対に口に出すなと震えながら睨みつける。
諸葛亮が空城の計で司馬懿の15万の大軍を退けたと知り西城県令は驚き賞賛する。しかし西県の住民に故郷を捨てさせる結果となったことに諸葛亮は謝罪する。県令がまた機会を待って長安へ攻め入る時には西城の民は皆協力すると励ますが、諸葛亮はため息をつく。また攻め入るだけの兵力を蓄えるにはどのくらいかかるか…。
西城を再度探らせた張郃はやはり城が空っぽだったことを知る。司馬懿は我が魏国を裏切るつもりか…!?
空城を前に15万の大軍を退却させ諸葛亮を逃したことは許し難いと曹真は息を荒げるが、魏帝は確かに諸葛亮は奇計を用いるとの噂であるし、結果的には奪われた三郡を取り戻したのだからと不問に処した。不満の声を挙げる曹真には、ならば追いかけて諸葛亮を討ち取りに行ってもいいぞと言い、曹真は押し黙るしかなかった。
蜀の成都にて。蜀帝の側仕えの宦官・黄皓は丞相・諸葛亮が帝を差し置いて大きな顔をしていると不満を持ち、丞相とは折り合いの悪い老臣・李厳に養女の軽宵を後宮に入れさせる。絵が上手く賢い軽宵に蜀帝はすぐに好意を抱く。
諸葛亮は敗戦の咎で馬謖に斬首を命じる。馬謖を減刑せよとの聖旨が届くも、既に刑は執行された後であった。諸葛亮は涙を流し聖旨を受ける。馬謖のために泣いているのではない、人事を誤った己の無能さに、多くの将士らの命を奪った己の過ちに…。
侯吉は今回仲達が宛城、新城、長安とひっきりなしに駆け回ってあの諸葛亮をも撃退したのに魏帝が何の褒美も出さないのはおかしいとぶつくさ文句をたれる。そこへ魏帝がこっそり現れる。仲達はその微妙な気配に勘付き、今回は自分の功ではなく長安にまで親征した魏帝のお力だと言う。魏帝は笑い飛ばし、一体何が褒美に欲しいか言ってみろと聞く。仲達は勝手に新城を出て長安へ来た事は違反であったし褒美など滅相もないと畏まった。魏帝は、お前を罰することにならないよう以後行動には充分気を付けろと言う、お前は私の手足となって魏国の天下をおさめてもらわんといかんのだからな…。
諸葛亮が我が子同然に可愛がっている馬謖を自ら処刑したと聞いて、仲達は彼が再戦を考えていると指摘する。馬謖を処刑せねば軍内に不満の声が上がり、彼は再び軍を率いることはできなくなるだろう、つまり彼はまだ今後も軍を率いる気があるという事だ。
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仲達キャラブレでわけわかんないよー。今作は少なくともクーデターまではやりそうだから、これは心変わりの伏線?それとも今までが本心を隠してたって設定??
呉秀波、この人の一体どの表情を信じればいいのか…。
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