信陵君は国王の寵妃に近づき兵符をだまし取って自分の目的のために使った。臣下が後宮と結託することは君主が最も忌み嫌う事。その寵姫は結果的に処刑されることとなった。「女は利用されて捨て去られる、可哀想だと思わなくて?」
やはり全てが耳に入っている様子…仲達は目を細め柏氏の後ろ姿を見やる。と柏氏は突然振り返り仲達の両手を封じて言う「もし信陵君が口封じのために人を殺したら、その噂はあっという間に広まる、彼は魏国を脱出できたと思う?」
そこへ春華がやって来て二人きりで手を握って何してるのと目を吊り上げる。仲達は彼女に虎勢(虎の構え)を教えてただけだと言い訳し、かの信陵君は仁義に篤いので憐れな人々を殺さなかったと話してたところだと言う。だが、柏氏は信陵君の忠臣である侯嬴は死んだではないかと問う。侯嬴は主のために自刎したと伝えられるが、柏氏は信陵君が侯嬴を心から信じ共に連れて行けば彼は死ぬ必要はなかったのだと告げる。仲達は柏氏の意図を悟り、絶対に侯嬴を捨てるようなことはしないと答え、不審がる春華を連れて去って行った。陰で見守っていた小沅は仲達が柏氏を手にかけようとするのではとヒヤヒヤしたと言い、すぐに陛下に報告した方がいいと勧めるが柏氏は制止する。
部屋に戻った春華はまた机の上に陣取り仲達にどういうことか説明しろと命じる。仲達は今度はちゃんと彼女の簪を床にセッティングしてから跪き、信陵君の逸話から説明し始める。柏氏は私を信陵君に喩えて、今の私が裏切り者であると指摘したのだと。春華は訝しそうに、なぜ両手を握っていたのと追求する。柏氏は仲達が口封じのために池に突き落として殺そうとすると警戒して両手を封じたのだと説明するが、しかし春華はいやらしい事しようとしたんじゃないのと手厳しい。いや冗談を言ってる場合ではない、彼女が陛下に密告すれば司馬家は破滅だ。すると春華は呆れたように笑って言う、彼女は密告などしない。なぜなら彼女はあなたの事が好きだから。その言葉に仲達はあっけにとられる。男は女の芝居が見抜けないけど女にはすぐにわかるのよ、そう言って春華は出て行った。
侯吉は小沅に近づこうと手料理を振る舞う。小沅ははじめ警戒していたが侯吉が毒見をしてみせるとやっと食べ始めた。雑談などをしながら家事を続ける侯吉だが机に置いてあった包丁が着物の裾に引っかかって落ち、彼の足に刺さりそうに…だが直前で小沅が包丁を掴み怪我には至らなかった。侯吉は小沅がやはりただ者ではないと心の中で慄く。
突然曹丕が庭園に散歩に出かけると言い曹真と仲達が呼び出された。庭園に設けられた席で、曹丕は曹真に西域との貿易を再開するため軍を率いて楼蘭へ向かってくれと頼む。今度は自分が朝廷から引き離される…曹真は命令に従い出陣はするがその前にひとつだけ頼みたいことがあると申し出る。自分が出掛ける前に、太子を決めてほしいと。そして仲達もその言葉に同意する。しかし曹丕は太子の話を持ち出すと今の世の平安が乱れるため今後一切立太子の件は口にするなと告げるのだった。
仲達は帰宅すると西の離れへ赴き、柏氏が一切の事を曹丕に報せなかったことに礼を言う。柏氏は仲達の陛下への忠心はよくよくわかっており、言ってみれば自分と同じ立場なのだと言う。二人は今後は同志として、そして家族として協力していこうと約束する。ところであの夜の"虎勢"とは何の事?と柏氏は尋ねる。仲達は決して突き落とそうとしたわけではないと弁解し、虎勢とは華佗という名医から教えられた健康体操だと説明する。司馬家が皆やっているその健康体操を私にも教えてほしいと柏氏は言う。だって私も司馬家の一員でしょ?そう言われ仲達は断れない。また春華がやってこないかとビクビクしながら仲達は虎勢を教える。と、柏氏がバランスを崩してよろめき、仲達が抱きとめる。そこへやってきたのが侯吉と小沅。抱き合う二人の姿に侯吉は唖然とする。「だんなさま…?」「虎勢だよ!」「あ…そうですね、虎勢だ、うん。」
一年後、曹丕は洛陽に遷都し仲達は侍中(側役)に任じられた。
寿春の屯田で大成功をおさめた鄧艾がその報告のため都入り。仲達、鍾会、陳群、鄧艾が集い魏国の今後の見通しについて意見を交わす。屯田により糧食も蓄えられ兵力も増した、先ずは交通の便の悪い蜀ではなく呉を討つべきだと鍾会は言う。しかし鄧艾はまだ蜀も呉も討つには力不足だと意見する。仲達は鄧艾の見立ては正しいが、富国強兵を続けられる時間はそう長くはないと告げる。曹真がまもなく西域から帰還するとの報せがあったのだ。
曹植の監視役として鄄城に派遣されている灌均の元にに曹真の使いがやってきて西域の珍品を贈る。さらに都に戻ったあかつきにはもっと素晴らしい贈り物を用意していると伝える。人事異動があるのかと問うとそうではなく、曹植が国を裏切るような大きな罪を犯し処刑されれば、自ずと監視役から解放され都に戻れるだろうと言うのだ…。
凱旋した曹真は参内し曹丕に西から持ち帰った数々の宝石と美女を見せる。曹真は満足し今夜は曹真のためだけに盛大な宴を催そうと笑う。そこへ鄄城の監視役からの報告書が届く。それを見た曹丕は尚書台には知られないように華歆と満寵を呼ぶよう命じる。
* * * * *
仲達が時々やってるこの太極拳みたいなやつ、なんと第一集で台詞上に出てきた「五禽戯」なのね、そんな頃から伏線張ってたのね…てかわかんねーよそんなの!
0コメント