春華はようやく鄴城にたどり着き子桓に玉璽を渡した。臣下らは子文の兵が洛陽を取り囲み後継の座を主張していると知り騒然とする。そして一刻も早く即位すべきだと勧めるが、子桓はまず父の亡骸が戻ってから即位するのが道理だと言って洛陽に向かう準備を始めた。叙達は兄嫁が命がけで玉璽を持ってきたその努力を無にするのかと訴えるが子桓は親不孝な行為はできないと突っぱねる。
先に即位すれば民の反感を買いかねず相手に攻める口実を作らせるだけだ、子桓は正々堂々と太子の名をもって洛陽の反逆者を討伐するつもりでいた。しかしそれでは洛陽に囚われる司馬懿や賈逵は殺される…阿照はどうか姐夫を助けてほしいと頼むが、後宮は政治に口を出してはならないと言われてしまった。 叔達ら臣下は揃って卞夫人に王后の権限で子桓を即位させるよう懇願する。このまま放っておけば三人兄弟が互いに殺し合う事態になりますぞ!…しかし子桓を助ければ弟らは助けられない、卞夫人は葛藤する。阿照は子桓殿下は弟を殺すような人ではないと言い、皆で平伏する。
子文は強引に子建を王に即位させると宣言する。朝臣らからは反対の声が上がるが子文は反対する者を捕え連れ去って行った。文句がある奴は出て来い、剣を振りかざす子文に、しかし程昱が進み出る。後継者問題を今更蒸し返し内乱を起こしているその隙にまた劉備・孫権が襲ってきたら国はどうなる、まさに袁紹の二の舞ではないか。これを見過ごす朝臣などおらぬ!子文は怒り程昱を殺そうとするが丁儀が制止する。程昱将軍は軍への影響力が強い、彼を殺しては兵士らが反乱を起こす…。
子文は明日司馬懿と賈逵を処刑し子建の即位式を執り行うと宣言した。
洛陽へ出立しようとする子桓の元へ卞夫人がやって来る。卞夫人は主亡き世で民に不安を与えてはならぬと、すぐに王として即位するよう王后の名で命じる。母の命に従うのは親孝行の道、臣下らに押され子桓はついに受け入れる。卞夫人はどうか弟らには手を出さないようにと頼むが、子桓はもし子建らが司馬懿と賈逵を殺していたら一矢報いずにはおれないと答えるのだった。
元来心優しく素直な子建は王位に就くことに消極的だ。父にももう兄とは争わないと誓ったのに…しかし周囲はどんどん準備を進めていく。子文も40万の兵があれば絶対負けはしないと強気だ。子建は久しぶりに兄と飲み交わしたいと酒席に誘い子文を酔わせ、その懐からそっと令牌を盗み出す。そして牢へ行き、子文の命令だと言って司馬懿と賈逵を連れ出す。二人を逃がそうとするが、司馬懿は賈逵が先に行って子桓と連絡をとってくれと送り出す。賈逵は子文の令牌を使って洛陽城を出た。
残った仲達は子建と酒を酌み交わす。子建は子桓と心が通じ合っている司馬懿がうらやましいと言う。幼い頃は子桓とも子文とも仲良かった、剣術も学問も兄が教えてくれた。しかし大人になり互いに軍師を擁する頃になるとどんどん兄弟の距離は離れて行き…もはや戻れない距離となってしまった。仲達は言う、わたしは8人兄弟で互いに助け合って生きてきました。兄弟は同じ血の通った者同士です、必ずまた助け合える時がやってきます、と。
司馬懿と賈逵が昨晩釈放されていたと知り丁儀は驚いて子文の元へ。子文の令牌を使ったのは子建だと判明する。子建は朝まで司馬懿相手に酒を飲んでいた。子文は憤怒し、司馬懿にはよく逃げなかったなと言う。
仲達は逃げてはならなかったのだ。彼が逃げなければ子文は彼を殺すだろう。自分が死ねば朝臣らはみなその無法な行いに憤るだろう、朝臣らが憤れば、子文が新たに王位に就くことなどできなくなるのだ。民あっての王、臣あっての王だ!
洛陽城の外に夏侯惇の兵が現れたとの報せ。夏侯惇は新王の聖旨を読み上げる。「司馬懿、賈逵を解放し、先王の棺を鄴城へ移送せよ。」聖旨に従わぬは逆臣なるぞ!
その時、命令もなく城門が開かれ、そして子文は左右から剣を突きつけられる。兵士らが"魏王の命に従い"逆賊を捕えたのだった。
その頃処刑場では司馬懿と子建が処刑されようとしていた。先ず司馬懿の首に処刑人の刀が振り下ろされようとする…その時、飛来した矢が処刑人の胸に刺さった!そして黒衣の男が乱入してきた。処刑人や兵士らを次々と倒していく。それはあの汲布であった。続けて馬の駆けてくる音が。「魏王の命令である、司馬懿を釈放せよ!」伝令は司馬懿の息子・司馬師であった。
洛陽の乱は血を流すことなく抑えられ、ついに子桓は魏王として玉座に座る。
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いやー主人公が死ぬわけないと思いつつも、絶対助かるってわかっててもハラハラしてしまう。そうよねいっつもギリギリセーフよねってツッコミつつも。
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