赤壁の戦いの二の舞になるとはよく言ったものだ…魏王は仲達に、楊修が失職した今、お前が子建を補佐してくれないかと囁く。仲達は凍り付き、それは子建公子が受け入れないだろうと言うのが精一杯。だが魏王は確かにもう手遅れだったなと呟き仲達を下がらせた。
仲達は牢の楊修に会いに行く。楊修はやっと自分に相応しい敵に会えたのにもう戦えないのは残念だと告げるが、仲達は貴方を敵だと思ったことはない、いつも自分を見るようだったと答える。思えばあの日、処刑人の刀が振り降ろされようとしたあの時から二人の戦いが始まった。それはいつしか後継争いに変わり、そして今…我々の戦いと思っていたものも結局は誰かの掌で動かされる駒でしかなかったのかもしれない。
そこへ王から処刑令が届く。楊修を即刻斬首せよと。楊修は兵士が運んできた最後の酒杯を受け取る。最後にお前と酒を飲みかわしたかったが断頭の酒では無理だなと(※不吉だから?)笑う楊修に、仲達は喜んで共に飲もうと言う。楊修は酒を半分飲み仲達に手渡す。仲達は残りを飲み干した。楊修は子建の事をどうかよろしく頼むといって処刑場へと去って行った。
子建は太子の地位などいらないし兄とも争わないからどうか楊修の命だけは助けてほしいと魏王に泣いて頼むが、魏王は淡々と執行命令を出す。楊修は斬首された。
その直後、魏王は夢を見た。三匹の馬が一つの桶の餌を食べている、殺せ、その馬を殺せ!目が覚めた魏王はそこにいた程昱に剣を突きつけていた。我に返った魏王は夢を診断させるため楊修を呼ぶが、程昱から楊修はもういないと言われる。程昱は彼が最期に司馬懿と話していたことを伝える。
魏王は司馬懿に東呉へ行き孫権と盟書を交わしてくるよう命令を下す。 仲達は男装した春華を連れ、魏国使者として発った。
孫権は曹操の使者としてやって来たのが司馬懿という名も聞いたことがない30そこらの若造だと知り訝しむ。軍師・張昭の情報では曹丕の配下らしいが何の功も立てた事のない文官で、官職に就く親のコネで行軍司馬になったようだと。なぜ曹操はそんな男を使者に?しかしかの諸葛孔明も使者としてやって来た時は27歳だった、若造とて油断は禁物だ。
孫権の前に現れた司馬懿は、聖旨により孫権を驃騎将軍、荊州牧・南昌侯に封じると伝える。張昭はさてはてその聖旨は天子のものか魏王のものかと皮肉る。魏王が天子を捕えてその威光を振りかざし諸侯を威圧していることは皆が知るところ、その聖旨も天子ではなく魏王の意図であろうと張昭は厳しく批判する。と、司馬懿はそれは違うと否定。魏王は天子と漢王朝を保護しているのだ、漢王家を狙う逆賊どもの矢面に立っているのだと。そしてかつて董卓が漢王家を襲った時に曹操と共に戦うと誓った孫堅将軍の遺志を継いで漢王家のために逆賊と戦うのが親孝行の道であろうと説く。
孫権はその達者な喋りに苦笑し、逆賊とは誰を指すのかと皮肉を込めて尋ねる。「それは荊州の関羽です。」その答えに朝臣らは皆大笑いする。関羽は天子自らが漢寿亭侯に封じたのだ、その彼を天子が誅するとはいかなる事か?ましてや荊州は江南(呉)の地。自分の土地の者を逆賊として討つとは如何に?しかし司馬懿は関羽が長年荊州の税を収得しており呉には一銭も入らず名ばかりの領地になっていることを指摘する。孫権は劉備との同盟関係の下でそんなささいな事は問題にしない、魏王は赤壁の戦いですっかりひるんで関羽に臆しているのかと嗤うが、司馬懿はこのまま放っておけば荊州は劉備勢の実効支配となり取り戻すことは不可能になると迫る。「関羽など魏国にとっては蚤に噛まれたようなものですが東呉にとっては将来災厄の種になるやもしれませんぞ。」孫権は一度協議するといって司馬懿を下がらせた。
魏王はなかなかの人物を擁しておるな…孫権はこの若造が第二の孔明たるかもしれぬと警戒を強めるのだった。
夫が孫権を見事に言い負かしたと春華は愉快そうだ。夫婦仲良く江南の新鮮な魚に舌鼓を打っていると、東呉の若手のホープと噂される陸遜(伯言)将軍が訪ねてきた。仲達は陸遜に今回の目的は長い戦に疲弊している江東の地を休ませることだと告げる。戦で苦しむのはその土地の民だ、彼らのために魏国と呉が協力して関羽を追い出し北上せんとする劉備を討とう。陸遜はしかし欲深い魏王が勝利に乗じてさらに南下することがないとは保証できまいと言う。仲達は魏王はもう御年65ですと答える。わたしに魏王を止める力はないが、太子に働きかけることはできるという意味だ。
陸遜は司馬懿が魏国太子に内定している曹丕の信頼する軍師で、曹丕が王となればおそらく彼が政事を一手に担うことになりそうだと孫権に報告する。司馬懿と良い関係を持っておくことは非常に重要となって来る。
孫権は主将の呂蒙将軍に病気だと偽って撤退させ、追って来た関羽を副将の陸遜が後方から挟み撃ちにする作戦に出ることに。まだ名の知られてない陸遜なら関羽も油断するに違いない。劉備に諸葛亮が、曹操に司馬懿がおるなら、我が東呉には陸伯言のような若く優れた才能がおることを皆に知らしめるのだ!孫権は自らの剣を陸遜に授ける。
同盟をとりつけ帰って来た仲達。孫権は何と言っておったかと魏王は問う。彼は天子に帰順しても魏王に帰順はせぬ、己が天子と思い込むなと言ってたと伝えると、魏王はあの青二才をあぶり焼きにしてやりたいものだと笑う。それに対しどう言ったのだと聞かれると仲達は無言で何度も礼を繰り返した後言った「我が王は周の文王のようになりましょうと答えました。」(※殷を倒し周王朝を興した武王は亡き父を文王に追号した。曹丕が新王朝を興し曹操を皇帝の父として追号するでしょう、という意味になり、曹操が死んだ後という仮定が入るため目の前の曹操に対しては非常に失礼な話になる。)
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楊修ー!おまえいいやつだったよ、おまえのおかげでドラマが超楽しかったよ!
物語は国同士の戦いへとシフトしてくっぽい。後継争いめちゃ楽しかったのにちょっとざんねーん。
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