2017/10/4記
第53集16分頃、
張儀が恵文王に剣を突きつけられるシーン、ここのお芝居が本当に素晴らしいと思うの!
セリフの意味は以下の通り。
「陛下!」
「張儀かどうした。」
「陛下、王后は徳がなく廃すべきで、太子はその役目にふさわしくありません。」
「お前は一介の家臣に過ぎぬのになぜそのような事にこだわるのだ。まさかお前はわしの儲位(爵位授与や剥奪の権利)に口を挟もうというのか。」
「そうです、この張儀は一介の家臣に過ぎません、後宮の儲位も当然私には無関係です。私の関心はただ先公さま以来の商君の(導いた)政事、この秦国建国以来の天下を覇する心のみ、これがもはや続けられないかもしれないという事です。…ッ!!」
「お前はわしを信じとらんのか!」
「わたくしが憂うのはただ陛下の百年の後(※死んだ後、の意)に凡庸な君主の元でまともな政治家がいなくなり、秦国の百年にわたって築き上げた基盤が一瞬のうちに壊れてしまうことです!」
「お前は何をもって太子が凡庸な君主になると、太子に優る者が他におるとでもいうのか!?」
「太子さまは大変勇猛でいらっしゃる、通常の意味での凡庸な君主ではないというのが的確でしょう。しかし一人の将軍が無能であれば一万の兵が死に追いやられる、それが君主ならなおさらです!太子さまは常に荒々しく力で物事を成そうとなさる、どのようにして時勢を読んでいくかをお解りにならない。対して凡庸な君主はどうですか!?(同じでしょう?)」
「・・・・・・。」
「陛下にお尋ねします。もし若様が王位をお継ぎになって、また韓を攻めるか蜀を討つかの議論が起これば陛下は太子さまがどういう選択をされると思われますか。」
「蕩・・・。しかし稷は(君主としての)天賦の才があれどまだ幼い。」
「かつて周の成王が王位を継いだ時、王はまだ幼かったため世間を安心させるために母君の邑姜に政事を全て任せましたが、おかげで周王朝の天下は今日の今まで続き滅びておりません。王の母君が天からの命令を受け幼い王を補佐することはまれな事ではありません。陛下がわざわざ稷公子の年齢を持ち出してくる必要がありましょうか。さらには世界中の才子がみな秦国に集うのは我が偉大なる秦の法が情に勝るゆえ(※商君が作りあげた厳格な法律至上主義)であるのに、陛下が秦法を棄て情に流されれば(※罪を犯した王后を無罪放免すれば)世界中の才子賢者はぞっとして去ってしまいますよ。」
「今までの秦国の王后や嫡子は貴族であり、もちろん何らかの罪を犯したことはあっても、その高貴な身分ゆえ守られてきた。わしが同じことを繰り返せば、秦国の新しい政事への信頼は跡形もなく消え去るだろう…。」
「戦士が腕を断たれた時、何を取り何を諦めるかを選ばねばならない。人生は将棋のごとし、後悔無きよう指すべし、です。」
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